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◇パーティ募集中
心当たりに声を掛けてみたが、全て空振った。
俺が何の楽器も出来ない以上、当然か。
お荷物の為に一緒に死地へと赴いてくれるような変わり者なんざ、そうそういる訳がない。
それぞれクラス毎の準備もあって忙しいしな。
で、途方に暮れて屋上の日陰で涼んでいる訳だが、そこでクラスの手伝いもせず読書に励んでるサボり魔を見つけた。
「おい、こんな所でサボりかぁ? 賢ちゃんよ」
「サボり? 戦略的撤退と言って欲しいね」
「どっちにしろ逃げてんじゃねぇか」
わざわざ言い辛い方を選ぶ必要が無い。
ふん、と鼻を鳴らしてスカしたこのアシメ野郎は、小学からの腐れ縁だ。
隣のクラス――二年二組の安西賢治郎。
あれ、確かコイツ、何か楽器出来なかったっけ?
「オマエ暇そうだな? ちょっと俺の手伝いする気ない?」
「無い」
「即答……だろうと思ったけどさぁ、本ならいつでも読めるだろ? でもほら、今しか出来ない事があったりするだろ?」
「俺は今、本を読みたいんだ」
くっ……昔からコイツは釣れないな。
クールぶったド天然野郎のクセに。
「じゃあ終わったら本一冊、という条件なら?」
「レスター手稿」
またも即答。
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