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せめて俺の勝手知ったるVRに転移したのだと思いたいところではあったが、すでにここが見知らぬ地だとだけは理解している。
VRだったらと思っていた俺の考えは少し甘かったようだ。
この世界は俺の知るVRとは全く違う未知なる世界なのだと受け止めるしかないのだろう。
こんな時、ライトノベルの主人公なら女神様から状況説明があったりと、色々な支援を受け取ってからの異世界デビューがお決まりだろう。
神の加護や反則級能力を授かり悠々自適に異世界生活か、使命を託されそこそこ有意義な人生を送るのだろうが、それに比べて俺は……言うなれば事故だろ、これ。
「だだっ広い草原にぼっちで異世界デビュー。なぜこんな所に居るのか皆目検討がつかず、突如現れた黒い靄に<誰か助けてくれ!>と叫びたいのは俺の方だ」
三十近い大人がVRに心躍らせて毎晩プレイしていたら異世界デビューしちゃいましたとか、そんなユーモアあったら自称永遠の十六歳なんか発症してないだろうよ。
「あーッ、くそッ!」
考えていて悲しくなってきた。
ラノベの主人公に嫉妬するよりも、今後の事を考えた方がよさそうだ。
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