《第一章 異世界転移》プロローグ

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 ギアの見た目は頭部全体を覆う旧式のヘッドギアではなく、シュノーケルの無い分厚いゴーグル部分が機械化されたと言えばわかりやすいだろう。それとは別に後頭部から首根までを覆う半円のサポーター部分のふたつで構成されている。  人間は体を動かすとき、脳から神経を伝いあらゆる部分へと指示を出し動かすようだ。  このゴーグル部分はログインやアップデートなどの視覚的に作業が必要なときにだけ利用するだけで主にゲーム中は意味をなしていないだろう。  このVRギアのメインなのは首根を覆うサポーター部分、これは脳から送られてきた電気信号を受信し、体へと送られるはずだった指示を遮断してゲーム内にある俺の意識(キャラクター)へと転送するらしい。  仕組みは単純だが高度な科学だという事だけは理解できる。 「発達した科学は魔法みたいだな」  準備が整うとポツリと言葉を漏らしながら、ゴーグル部分の側面にあるスライドスイッチをカチリと押し上げて電源を入れた。  すると、見慣れたログイン画面が現れる。  ____________  <ログインしますか?>  【YES】―【NO】  ____________  もちろん【YES】だ。 「YES」と呟くと、表示されているログイン画面が光と共に視界の先、中央の一点に向かい吸い込まれていく。  この時、俺はこの画面を見ているだけで現実時間から開放されていく気分になる。     
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