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それと気づいた事が一つだけある。どうやら俺の身体が多少若返り、以前より少しスリムになっている事が気になる。
ビールの飲みすぎで下っ腹のでたメダボというより、俺の場合は横っ腹が若干ぷにっとしてきた自覚はあった。それがどうだ、これが忘れかけていた健康な体というものだろう。
身体がいつもより軽く感じるし、感覚的には二十歳ぐらいと言ったところだ。掌で頬を擦りながら、手ぶらなのは重々承知の上だが、せめて鏡があればなと思ってしまった。
「鞄だけでも持ってこさせろよ」
俯いた俺はつい、小さく呟いた。
すると突然、草原で独りな俺の腰辺りに何の前触れも無く黒い靄が現れ、それは宙に浮いていた。
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