《第一章 異世界転移》プロローグ

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 それと気づいた事が一つだけある。どうやら俺の身体が多少若返り、以前より少しスリムになっている事が気になる。  ビールの飲みすぎで下っ腹のでたメダボというより、俺の場合は横っ腹が若干ぷにっとしてきた自覚はあった。それがどうだ、これが忘れかけていた健康な体というものだろう。  身体がいつもより軽く感じるし、感覚的には二十歳ぐらいと言ったところだ。掌で頬を擦りながら、手ぶらなのは重々承知の上だが、せめて鏡があればなと思ってしまった。 「鞄だけでも持ってこさせろよ」  俯いた俺はつい、小さく呟いた。  すると突然、草原で独り(ぼっち)な俺の腰辺りに何の前触れも無く黒い(もや)が現れ、それは宙に浮いていた。
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