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2―ロロア
こんな何もない草原で孤独に言うのもなんだが、俺の人生の楽しみの一つ、食事の時間だ。
焚き火から燃える薪を一本トングで掴むと、準備しておいたBBQコンロの中に入れて炭に火を熾した。
VRでは素材アイテムとして扱われていた分厚い飛竜のステーキ肉を網の上に寝かせると、滴る脂で炭がバチバチと軽快に爆ぜ始める。
立ち昇る香りで俺を魅了する肉を裏返し丁寧に火を通すと、網目状の焼き色がしっかりと付いていた。
「食えるよな……」
なぜか緊張する。香りと見た目はどう見てもステーキその物。
VRではステータス上昇はなかったが、これは焼くだけで誰でも食す事ができていた簡易料理だ。
炭が爆ぜる度に煙に燻られ鼻孔を擽るこの香り。焼きあがるまでが待ち遠しい。
そろそろ頃合だろうか。裏面もしっかりと焼き、肉バサミとトングを使い、器用に肉を切り分けしていくと、網の上でコロンと寝返りを打ち、柔らかそうな赤身を俺に向けてくる。
「……肉」
トングで掴んだ一切れの肉。現実世界に具現化されたアイテムでも本当に食す事はできるのだろうか。
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