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朧な記憶が形を帯びて、浮かびあがる。
「この資料によると、里美さんは、事故で亡くなった田村真弓さんも、あなたが殺したと主張しています。」
そうか。
里美は、ずっと、僕を追っていたのか。
調べ上げた証拠では、僕を捕まえられない。
だから、自分を殺させて警察が動くように仕向けたのか。
死ぬ間際を里美の笑顔が目に浮かぶ。
死への喜びではなくて、復讐の完結への喜びだったのだ。
思えば、まゆみちゃんを殺す時も衝動を抑えられなかった。
あれから、全て始まった。
まゆみちゃんの面影のある里美だからこそ、殺人衝動が抑えられなかったのか。
そう思うとおかしくなって、思わず微笑みが溢れるのを感じた。
すると刑事は、怪訝な顔をした。
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