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「しつこい」
青年が私を庇うように立つといきなり両手を打ち合わせる。
駆けてきた男たちが顔を袖で覆った。
「雪崩星(クオータースター)」
青年の声に反応するように石つぶてが男たちの顔面を襲った。
「この子の命が心配だろ。今日は引いてくれ」
青年は私をしっかり抱き抱えていた。
反論する余裕なんてどこにもない。
「移動(ポート)」
青年の声があからさまに響いた。
私は訳もわからぬまま青年の部屋にいて訳もわからぬままにベッドに座って居る。
「驚かせてすまなかった。見たことのない服だけど君はどこから来たんだ?」
青年は私を見詰めてくる。綺麗な黒い眼差しだった。日本に居る典型的なかっこいい人と言えるかもしれない。背も高くてやせ形だ。若干黒い髪の毛が長かった。
「私は水島ナナコ。ここはどこよ。さっきのあれ何?」
私は反対に聞き返す。
あんまりではないかとおもう。
いきなり付き合えと言われて人質にされたのだから。それなりに理由を聞く権利がある筈だった。そうしてここがどこかも聞く必要がある。何より声に聞き覚えがあるような気がしてならない。
「魔術師狩りだよ。知らないのか」
「魔術師?」
「まさか何も知らないのか?」
「知らないわよ。マジ、ここどこ?」
「ここはリードといいう大陸だ。魔術師失格者を中心に処分される島だ」
青年は私をからかってるんだろうか。
魔女狩りなら知っているけれども魔術師狩りなんて聞いたこともない。
「リードって大陸だということはわかった。それで魔術師狩りってなに? 処分されるって」
「いきなり話しても理解できなさそうだな。とりあえず俺から離れないで」
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