第一章 

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第一章 

                     〇 「高校一年のカケル君。模擬試験がありますので模擬試験ルームまで来てください」 なんで、こんなに晴れて涼しいってのに模擬テストなんだよ。 さっさと部屋に帰って小説を書きたいのによ。 外に出るなら、かわいい男の子でも横にいてほしいな。 いつになったら、彼女が出来るんだろ。 あっ、思いっきり妄想してた。 とにかく、テストをさっさと終わらして、帰ってやろ。 やべ、あと二分しかない、走れば間に合うはず。 「あっ、ごめん。大丈夫?」 いえいえってか、俺より年下のような気がしたんだけどな。 そんなことより、テスト。 遅刻したら、得点半分だからな。 だから、絶対に遅刻できない。 「カケル君ですか。」 うわ、きれいな女の人。 地球人かな、まさかドルガル人だなんて。 ないない、そんなわけ... 「はい、私はドルガル人ですよ。反銀河軍事帝国皇女です」 なんで、心のこえが聞こえてんだ。 てか、皇女って言ったよな、なんでこんな人が俺に声をかけるなんて。 「人違いです。時間がないんで失礼します。」 さっきも言った通り、俺には時間がない。 いくら皇女でも、ドルガナのでも話してる暇なんてない。 「あなたに間違いありません。四月十九日生まれ、血液型はB型、身長百六十七センチ、体重四十三キロ、特技はゲーム、好きなことは特になし。そうですよね。」 何なんだこの人は。今更だが、なんでドルガルの皇女がこんなところに、それになんでそんなに俺のことを知ってるんだ。 「私は目的の人の情報はすべて記憶しています。それに、この星の政府には許可をもらっています。ついでに言っておきますが、私にはあなたの上司に、あなたのテストの都合を付けることもできます。どうしますか。」 ドルガル人は悪い人だけじゃないんだ。この人みたいにいい人もいるんだ。 「なら、満点の五割で点数を付けておいてもらってください。」
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