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なんだったんだあの人は、ほとんどしゃべらしてくれなかった。本当にドルガルの皇女なのだろうか。本当にそうだったら、会ってしまった僕は大丈夫なのだろうか。それになんだこれ、蒼い宝石のついたネックレス?らしきものをもらってしまった。でも、あれだけ、僕の個人情報を知られてるのは、さすがに不気味だな。まあ、あんなに知れるんならドルガルの皇女ってのも本当なのかもな。とりあえず、ネックレスは大事に置いておこう。何かあったら助けてくれるかもしれないし。とりあえず、逆に呪われないようにだけはしておこう。
「カケル、これ教えてくれ。微分積分全くわからない。」
「レン、授業担当の先生にでも聞けばいいだろ。別に俺も暇じゃないんだからな」
「あの先生は苦手だ。会話すらしにくい」
「珍しいな、レンってコミュニケーションは得意だろ。それに、その顔ならちゃんと教えてくれるって。微分積分なんてまだ習ってないから分かんねえし」
レンはこの学園で唯一のかわいい男の子だ。そのせいで、学園のアイドルと化している。入学当初は、多数の生徒に男の子であるにも関わらず、女の子に間違われ続けた。実際、レンの幼馴染の男子に女装させられたとも言っていた。ほんとにかわいそうだけど何か羨ましい。
「そうだ、学年一の賢い子がいただろ、優等生の。そいつに聞けばいい、何なら手伝ってやってもいいけど」
「あのいろいろと不思議なオーラを出しまくってる子か。カケルが手伝うならいいけど。」
じゃあ、よしいこう、と思っていた時、突然建物全体に振動が伝わった。ただの振動ではない。地震にしては地震速報も何もなく、第一振動時間が短すぎる。おそらく、地震というよりは、爆発に近い。その影響で、窓ガラスは砕け散り、ブレーカーが落ちて真っ暗になっていた。各部屋にいた教師が生徒の混乱を抑えようとしていた。割れた窓から飛び出す小さな影が見えた。
「おい、レン!どこに行く」
声をかけたがすぐにどこかに行ってしまって聞こえてはいないだろう。レンってあんなに走りが速かったっけ。まあ、この際そんなことはどうでもいい。それよりレンがこんな時にどこに行ったのかが気になる。ドルガルの皇女も気になるし。よし、俺も行ってやる。
この時、生徒も教師もそして、レンやカケルでさえ、振動の原因を分かっていなかった。
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