ビハインド

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考えたら、これだけのシチュエーションで血気盛んな男子大学生にあれこれ意識するなという方が、よほど酷な話なのである。宮野さんがどう思っているかなど、いくら女々しかろうが一応は男の端くれである僕に、わかるはずもない。 ただ、ひとつ言えることがあるとすれば、僕らが所属している学生自治会執行部には、他にも男子がいるけれど、宮野さんがたとえ衆目に晒されている場所でもこんな手荒なスキンシップを図ってくるのは、僕に対してだけだ。 そうだな。アルコールが回ったあとなら、それとなく訊いてみてもいいのかもしれない。その時には、もしかしたら、普段見ることのできない、頬を赤らめながらもじもじと次の言葉を探す宮野咲の姿が見られるかもしれない。もしくは、言葉より先に平手が飛んできたとしても、僕は甘んじて受け入れるつもりだ。 るんるーん、と口に出しながら荷物を片付ける宮野さんを視界に入れながら、僕は密やかにそんな決心をした。
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