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ましてや、アイドルでもない普通の女性のなりすましになっても何が面白いのだろう。元彼だって居ない。大学生になって初めてできた彼氏なのだ。ミズキは奥手だった。高校の時は、瓶底みたいな眼鏡をかけて冴えない女子高生だったし、そもそも高校が女子高なので彼氏すら居なかった。
従ってミズキに嫉妬したりする女性も居ないはずだ。彼に別に女性でも居ない限り。映画をすっぽかされたのも、彼に急な残業が入ったからで、謝罪メールも届いている。ミズキは気持ちが悪くなって、すぐに彼に相談した。
「とりあえず、パスワードを変えてみよう。SNSの運営からもそういわれただろ?」
「うん、パスワードは変えた。パソコンのほうも。」
「それでしばらく様子を見てみれば?」
「うん、わかった。」
「あと、それと鍵を変えたほうがいいかも。誰かが侵入してパソコンのパスワード解いたのかもしれない。俺は絶対にやってないからな?そんなしょうもないことしても、何にもならないだろう?」
「わかってるって。ユウキのことは信じてるから。」
それからすぐに自腹で鍵を変え、念のために二重ロックにした。結構痛い出費だったが、ユウキが半分持ってくれたので助かった。
しかし、その後も、身に覚えの無い書き込みが続いた。
「ネイル、行って来た♪今回のは、一番のお気に入り?」
ミズキは愕然とした。今、自分に施してあるネイルアートと全く同じものだったからだ。
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