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おじさんの焼きそばがあまりにもどうでもいいので俺もなにかどうでもいいことを投稿しようと思ったけれど俺の人生はどうでもよすぎて書くことなんか何もない。
文化人のアイコンを見ていると時々腹が立つ。殺害予告は捕まるのが嫌なのでしたことがない。 でもリプライツリーはじろじろ見てしまう。
おじさんは失敗した焼きそばの写真を投稿して、フォロワーが少ないので炎上なんかしなかったけど、小火ぐらいになった。
「世界には食べられないひとがたくさんいるのに、食べ物を粗末にして酷いと思います!!!」
おじさんにそうリプライを送った女の子のツイートは友達と食べに行ったスイーツの写真がいっぱいで俺はなんだか胸焼けしてしまった。
文化人は炎上したことなんか忘れていつもの調子で呟いている。
おじさんはしばらく沈黙した。
俺は焼きそばパンを買った客の顔をじろじろ見てしまい、苦情を言われた。でも、焼きそばのおじさんかなと思ったのだ。
おじさんは空の写真を投稿した。いつもよりたくさんいいねをもらっていた。俺はいいねをしなかった。
カップ焼きそばは数年ぶりに食べたが悪くない味だった。一緒についてきたわかめスープで火傷した。
おじさんは草花の写真を投稿した。もっとたくさんいいねをもらっていた。
自炊は数年ぶりにやったが半額の麺と腐りかけの野菜では美味しい焼きそばにはならなかった。
おじさんは調子に乗って書いたポエムが原因でたくさんの人に嘲笑されていた。
俺は腹を壊して休んでいるあいだに自分がバイトをクビになっていたことを知った。
「焼きそば焼かないんですか」
初めておじさんに送ったメッセージに、返事は来なかった。
おじさんにブロックされたことが、後で判明した。
むしゃくしゃしたので文化人のフォローを全部外した。特に恨んでもいない世間に対する悪口をたくさん書いていたらいつの間にかフォロワーが増えていった。
文化人だらけだったタイムラインがアニメの美少女ばかりになって、毎日がクソリプの応酬であーもうだりいこれ、と思ったので俺はアカウントを消そうとした。
そこに、おじさんからメッセージが来た。ブロックを外してくれたのだ。
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