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「日程はまた休みの状況を伝えますね」
「あぁ、俺はお前より融通が効くから誠の休みに合わせるよ」
「助かります」
『旅に出よう』
と宮部に言われ、誠も自身に次々と降り掛かってくる不可思議な現象の謎を解く手掛かりになればとその誘いにのった。
だが、互いに仕事を持ち、立派に社会を担う一員とあっては長期休暇を取り、旅に出るなど不可能な事だった。
特に誠は警察官という、特殊な勤務体系で働いている。
四交代制であるので、まだ恵まれた方ではあるが、非番、休日と無理を言って年休を取っての三連休が限界だった。
「よし!早速出掛けるぞ!」
カフェオレを勢いよく飲み下し、宮部がTシャツとジーンズを履いて立ち上がった。
「行きますか!」
誠も食べ終わった残骸を片付けて立ち上がる。
「とりあえず、今日は近場を散策してみよう!」
「よろしくお願いします」
ガチャっと、玄関のドアを開けた宮部がくるりと振り返った。
「ちょっと待って、やっぱコンタクトにするわ」
快適な室内との気温差で、振り返った彼の眼鏡が曇っている。
「……そうですね。ついでに髭も剃ったほうが良いかも知れない」
その姿が実に滑稽で、誠は肩を揺らしながら、ついでに髭が伸びていることも指摘した。
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