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ヴーヴー!!ピピピピッ!
ヴーヴー!!ピピピピッ!
「…………ん……っるさいなぁ……」
東京、西麻布。
剣術道場と併設されている家屋の一室で、スマホのアラームがけたたましく鳴り響いている。
気だるい朝に響く不快な音に、藤原誠は、目をつぶったまま手を伸ばした。
「はぁ……またあの夢か」
枕の下に埋まっていたスマホを取り出し、アラームを解除しながら、少し覚醒してきた頭でぼんやりと夢の内容を思い出してみる。
朧げながら、風にひらめく浅葱色の隊服が鮮やかに脳裏に浮かび上がると、目覚める直前に手にしていた刀の感触が残っているような気がして、誠は汗の滲んだ手のひらを見た。
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