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前夜
凛は今信じられない状況下にいる。
局長 近藤勇と、副長 土方歳三、山南敬助、そして、凛に声を掛けてくれた沖田総司を目の前にして、身動きするのもはばかれるような緊張の中にいる。
就職試験でもこんなに緊張した場面に遭遇したことはない。もしかすると、凛が今まで生きてきた中で一番の緊張の瞬間かもしれない。
目の前に本物の刀を差した、本物の武士がいるのだから当然である。
ーーどうしよう……。下手なこと言うと命ははないかもしれない……。
凛が生唾を飲んだ時、土方が口を開いた。
「総司、俺ぁ何も連れてこいたぁ言ってねぇが?」
鋭い視線は凛が写真で見ていたよりも数倍も凄みがあった。
ギロりと睨まれて、凛の背中を嫌な汗が流れていく。
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