前夜

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「もしかして……」 今までずっと黙って状況を見守っていた山南が口を開く。 「混血児ではないかな?」 「こんけつじ?」 博識な山南の一言に、沖田が不思議そうに言葉を繰り返した。 「異人と日本人の間に生まれた子という意味だよ」 「へぇ~。そうなると、お凛さんのような髪色になったりするんですか?」 「そうだよ。髪色だったり、目の色だったり、肌の色だったり、その時々で出るところは違うけど、片方の親が異人だった場合、その親に似たところが出たりするんだ」 「なるほど~。じゃあ、お凛さんは混血児なんですねぇ」 凛を睨みつける土方の背中側で、どんどん話がまとまっていく。その話を聞きながら、凛もそれに乗っていく方向で考えをまとめていく事にした。 「そうなのか?」 土方が発言を促した。 「……はい。……実は、私は長崎の出身で、父はそこで蘭医をしておりました。私はその父と、オランダさんの間に生まれた子です。しかし、父も母も私が奉公に出て間もなく事故で亡くなりました……」 いささか苦しいようにも思えたが、土方はそれ以上の追求はしなかった。
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