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「ったく……。それならせめて髪型くれぇ目立たねぇようにしやがれってんだよ!」
鬼の副長にも違う形で刺さったらしく、元の席に戻るとドスンと腰を下ろした。
まだ納得いかないと顔に書いてある土方を見て、沖田の口許に笑みが浮かんだ。
「いいじゃないですか。私は可愛らしいと思いますよ」
「お前ぇの好みの問題じゃねぇんだよ」
言葉こそ乱暴だったが、さっきまでの鬼の化身のような姿はもうなくなっていた。
しかし、凛にはもう土方のそんな変化さえどうでもよくなっていた。数分前の緊張も、罪悪感に苛まれていた気持ちも、今はすっかり忘れていた。
ーー沖田さんが……可愛いって言った?
恋する乙女の頭の中はその事でいっぱいだった。
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