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「お凛さん、ところで貴女は医術の心得があるそうですね?」
ぼーっと惚けていた凛に、近藤が尋ねる。
「はっ、はい!お医者様の助手をしておりました!」
看護師というものをこの時代どう言えばいいのか分からず、ひとまず助手と答えた。
「なるほど。それならば、こうして出会ったのも何かの縁だ。ちょうど知り合いの医者に助手を欲している者がいる。貴女の身の振り方についてはこの私、近藤勇にお任せ願いたい」
近藤の言葉に、凛の表情が花開いたように一気に明るくなった。
どこまで懐の深い方なのだろうと、その目に涙が浮かんだ。
「近藤先生...。誠に恐悦至極に存じます!この御恩、決して忘れません!」
凛は深々と頭を下げた。
「ったく、本当にどこまでもお人好しなんだからよぉ」
土方は軽く憎まれ口を叩きながらも、ほんの少し頬を緩ませているようだった。
「総司!お前が連れて来たんだから、行き場が決まるまで、お前が面倒見やがれ」
「はい。分かりました」
ビシッと指をさされても、沖田は全く動じる様子もなくにこやかに返事を返した。
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