前夜

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ーー休むって……寝るってことだよね?……沖田さんと同じ部屋で?しかも沖田さんの浴衣貸してもらうとか……!嬉しいけど……嬉しいけどもっ!! 彼氏いない歴=年齢ーー二十三の凛にとって、それはドラマやマンガなどの世界でしか見た事のない状況だった。 タイムスリップしたという、それらのストーリーを遥かに超える事象が自身に降り掛かったということも忘れて、恋愛ドラマの主人公になったような心地になった。 「じゃあ、私は外に出てますので、着替えが済んだら声を掛けてくださいね」 浴衣を胸に抱いたまま動かないでいる凛を見て、気を遣った沖田は部屋の外に出た。 「あっ、はい!ありがとうございます!すぐ着替えます!」 パタンと襖の閉まる音で我に返り、急いで着替え始めた。
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