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「男物の帯は初めてですか?」
遠回しに、そのような機会は無かったのかと問われているようでくすぐったかった。
「はい」
「私が結んでも?」
「……お願い……します」
凛が小さく頷いたのを見て、沖田は帯を手に取り、手際よく締めていった。
「帯が余りそうだから、蝶々結びにしました。ほら、こっちの方が可愛い」
また可愛いと言われて、凛は耳まで赤くした。しかし、当の沖田には深い意味は無いようで、表情もずっと変わらずにこやかなままだった。
「ありがとう……ございます」
「さぁ、今日は色々あって疲れたでしょう?もうお休みなさい」
沖田は凛に布団に横になるように促した。
「え、あ……でも、沖田さんは?……それに、斎藤さんもこの部屋に寝るんですよね?」
どうみても布団が二枚しか敷いていなくて聞かずには居られない。
「……斎藤さんは、今夜は多分帰りませんよ……」
「隊務ですか?」
「いえ……」
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