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「あら、これ、着てないの?タグがついたままじゃない。これも。何で着せなかったの?もったいない」
一人娘で張り切りすぎて服を買い過ぎちゃうママって時々いるけどね、と呆れるアユミにチサトは笑って手を振った。
「そうじゃないの。私の実家も元夫の実家も初孫で女の子だからって張り切ってしまって。向こうは親戚も多かったしね。で、お誕生日やクリスマスのたびに贈ってくれたのよ。でも中にはリカの気に入らなかったり、そのまま忘れてて着せてなかった物もあって」
「そうなんだあ。くれたかったらお金でくれればいいのにね。お返しだってバカにならないじゃない」
アユミは物言いがストレートだがそれがイヤミに聞こえない。幼稚園のママ友づき合いはそれなりにあるが、心を許せる貴重なママ友の1人だ。チサトはあはは、と笑って肯定も否定もしなかった。娘にもらった好意だけは素直に嬉しかった。それもなかなかリカの服を処分できなかった理由の一つだ。
「ね、ここら辺の服もほとんど着てなさそうじゃない」
「そういえばそうかも。リカは成長が早かったから」
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