ママフリマ

5/24
前へ
/24ページ
次へ
「このまま捨てるのはもったいないけど、使わなくてクローゼットに置いておくなら一緒でしょ。チリも積もれば山よ。うちなんかフリマの売り上げでプチ旅行に行ったんだから」 「すごいわね」 「タケルの最後のお一人っ子様旅行よ。甘やかし納めね」 アユミはからからと笑った。アユミにはお金にシビアだとか無理に切り詰めて節約しているイメージはない。ただ、まめでしっかり者なのでその辺は上手だな、と思う。すでに「肝っ玉母さん」の風格がある。 「子どもにお金がかかるのはこれからだから少しでも臨時収入があるのは助かるわよ。 別にお金に変えたいわけじゃなくても、誰かが役に立ててくれるならリカちゃんの思い出の物だって生きると思う」 それに言うことが論理的で説得力がある。アユミは着古し気味の服とチサトが慌てて押し付けた新品の服を一着だけ大型のマイバッグに詰め込むと「今日はありがとう。フリマやる気になったらお礼に色々教えてあげる」とタケルを連れて引き上げていった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加