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「タケル君ち、赤ちゃんが生まれるの、いいなぁ。妹だって」
リカがぽつりと真顔で言うので一瞬答えに困ったけれど。
「タケル君はお兄ちゃんだからリカは仲良しのお姉ちゃんになってあげたらいいよ。赤ちゃんが生まれたらお祝いしてあげよう」
と言うと、笑顔で「うん!」と頷いた。やっぱりリカは私の宝物だ、とチサトは思った。
思えば、離婚の時も感情的になってしまい「顔も見たくない、これ以上関わって欲しくない、お金なんか要らないから早く縁を切りたい」という一心で親や周囲の言葉にも耳を貸さず慰謝料や財産分与など一切請求せずにこちらに帰って来てしまった。置いてきた離婚届は夫が半年ほど持っていた後に出した。それで十分意趣返しをしたつもりだったのだが。
チサトは人に「お金が有り余ってるわけでもないのに無頓着」と言われることがある。確かにそうかもしれない。
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