叫ぶ男

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スマホやケータイのない時代をともに過ごした同級生と連絡が取れるからと、俺が今まで惰性でロムり続けるSNSが、Meat book である。 当初は懐かしい仲間とメッセージを交わしたりもした。 だがお互い仕事が忙しく次第に口数も減り、今は顔と名前が一致する程度の友人が毎日のように投稿する画像をスクロールしながらサッと目を通すだけで。 地元で噂になっている、どこの高校の生徒が全国大会出場とか、暴走族になったとか、事件起こしたとか、そんな噂話もちょくちょく書き込むやつがいて、終電や始発に乗りながら笑ったりもした。 毎朝6時の電車に乗って出勤し、22時半発の電車に乗って帰る毎日。 そんな不摂生が祟ってか昨日は仕事がはかどらず、現在土曜の午前5時。 職場近くのふじと台駅で始発電車を待っているところだ。 ホームにあまり人はいない。 くたくたになった頭にふと自殺願望がよぎる、魔の時間だ。 昔の小説にあった、枕木を打つ人の話を思い出す。 線路を作っているんだ、これは主人公の夢で、枕木を打つ人が自分の方を見ているんだ。 ━━自分のために線路を作っている。 そんな予知夢があって、最期。 主人公は線路に飛び込んで死んでしまうのだ。 死にたくなるときはいつもそれを思う。
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