叫ぶ男

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しかし、人の心、極めて一般的に述べてみたとしても、その心には波というものがあり、感情の波が打ち寄せてこそ、それが、全ての人間においての行動の動機となるのだと仮定した時。 結論から言うならば、俺の心に死の波が打ち寄せて、いきなりそれが心に満ちてしまったのだ。 確かに予兆が無いわけではない、喩えば老人が枕木を打つみたいな一種被害妄想的な予兆であるが、だが己の心がそんなもので満ちるなんて、誰が予想しただろう? 俺が乗る予定だった箱がすぐそこまで迫っている。 アレに俺は轢き殺されるのだ。 んか━━! ? 誰かが叫んでいた。 俺はそいつと目が合って、 ホームの反対側のそいつは、 言いたいことを言うと、入ってきた電車に姿が見えなくなった。 俺は急いで電車に飛び乗った。 逃げなければいけない。そう思っていた。 そいつに姿が見えないように、しゃがみこんでその場をやり過ごす。 そいつはこんなことを叫んでいた。 「死ぬのやめて、ニートになりませんかー━」
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