クリスマス

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「おはよう! 新美、生きてるか!」 「ちょっ、静かに……」  声の主は、里子さんのリーダー試験を担当した石野マネージャーだ。 「やっぱり寝てるのか? まあ、夜中に本部へ呼び出されたらそうなるよな」 「本部へ?」 「お届け時間や売上は、リアルタイムで本部も分かる様になっている。急にお届け時間が伸びて売上が減れば尋問されるのは当然だ。この店のスタッフ全員が知ってる信号無視だろ? 俺が知ってるくらいだから隠せないし……たぶん、相当怒られたんだろう。だから様子を見に来てやったのさ」  そう言うと、石野マネージャーは仕込みなどの準備を確認する。 「これじゃあ足りない。俺も手伝うから準備を進めるぞ。新美はギリギリまで寝かしてやれ」 「有難う御座います!」  店長を気づかってくれる優しさが何よりも嬉しかった。私たちだけじゃない。他にも味方はいるんだ。それだけで、苦しかった私の心は一気に晴れ渡る。  クリスマス当日は店長の予想通り、昼間のピークを終えると急速に忙しさが薄れて行った。そして、無事に営業を終える。  こうして私たちは、また一つ強い絆で結ばれ、他の店のスタッフに負けない程の力をつける事が出来た。
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