面接

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「土日はシフトに入れるの?」  電話で伝えたはずだが、もう忘れてしまったのだろうか? 「特に予定が無ければ入れます」 「そっか。じゃあ、特技はなに?」 「特技? えっと、その……」 「長所でもいいよ」 「長所? 長所は……いつでも元気なところです」  ……  ……  なんだ、この間は!? なにか反応してよ! 「成程ね。確かに声も大きいし、見た目は元気そうだな。じゃあ、志望動機を教えてくれる? この店でのアルバイトを希望する理由は?」 「家が近いからです。後は……お兄ちゃんがピザを好きだから、安く買えたら嬉しいな……なんて……」  しまった。思った事をそのまま口にしちゃった。呆れて、店長がキョトンとしてる。 「アハハハハ。未来は面白いな」  良かった、笑ってくれた。それより、もう未来って呼ぶの? フレンドリー過ぎない? 「いいよ、採用だ。俺は一週間前に別の店から異動してきたんだけどさ、この店は雰囲気が暗いから変えたいんだよね。新人同士、お互いに頑張ろうぜ」  一週間前に来たばかりなの? だからポスターも前の店長の名前だったのか。しかし、こんな簡単に採用されるとは思って無かった。そして……店長の笑顔が可愛く見えて、不覚にもドキッとしてしまった。 「必要な書類を言うからメモしてね。給料の振込先になる通帳のコピーと、印鑑と……」  必死にメモを取る間にも店長の顔をチラ見する。それなりに好みの顔だと今更気付いた。年上好きの私にとって十分許容範囲だ。まあ、煙草吸ってる人を彼氏にするつもりは無いけどね。 「全部書類が揃ったら持って来て。それからシフトを決めよう」 「はい、頑張ります!」 「それと……おーい、里子! あの新作ピザ、まだ余ってたろ? 未来に持って帰らせろ」 「はーい!」  先程のふくよかな女性の声が聞こえた。そうか、里子さんって言うのか。 「これ、メニューに載ってない新作のピザなの。温かいうちに食べてね」 「ピザ好きの兄貴と食べて、感想を聞かせてくれよな」  笑顔で手を振る店長と里子さんに頭を下げ、まだ温かいピザを片手に帰宅した。
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