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庸一だけが何も言わずいなくなった
庸一の大好きな梅ざらめのお煎餅は渡せないままで
(僕…もぅお煎餅ヤダ…)
あの時の淋しそうな顔が今ならきちんと思い出せるのに
やはり煎餅屋の娘としてショックだったんだ
庸一だけが足りない私達の遊び部屋で渡せなかったざらめ煎餅を一人でかじった
甘酸っぱくてすごくしょっぱいお煎餅
泣きながら煎餅をかじる私にお父さんは一枚の紙を手渡した
庸一からの手紙
「またあそんでね。おせんべヤダなんていってゴメンね。ざらめだいすきだよ。げんきでね」
何度も書き直した跡がある手紙
これだけならきれいな思い出だったのに
再会した庸一は変わっていた
私が一番嫌いなタイプに
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