第46の扉「灰をかぶったネコの記憶」

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 駅前のカフェで待ち合わせして、撮影にむけてのミーティング、ということになった。 「うわあ、亜美ちゃん。ひさしぶり」  いつものように、明るい口調で美鈴さんが声をかけた。 「美鈴さん、おとなっぽくなったね」  どこか、あか抜けた印象の彼女に、私が言った。すると、彼女はこんなふうに答えた。 「まあね、ちょっとは腕をあげたかな」 「腕?」 「そう、メイクのね」 「メイクのせい? おとなっぽく見えるの」 「だと思うよ。中身は変わんないから」  そりゃ、そうか……と思って私は笑った。 「月渚ちゃんの結婚式以来だっけ? 亜美ちゃんに会うの」 「そうだね」 「月渚ちゃんも元気?」 「うん。すっかりママだよ」 「すごいね」 「その上、高校生」 「え?」 「高校に戻ったんだよ、月渚。二学期から」 「そうなんだ。赤ちゃんは?」 「昼間は月渚のママがみてるからって」
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