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「臭くないか?」
「大丈夫。口元にハンカチ当ててるから」
更衣室の狭いロッカーの中に、俺と今野は隠れている。
俺のロッカーの目の前という、絶好ポイントで犯人を待ち伏せることにした。
「犯人来るかな?」
「来る!今回は、俺が愛用している、ヘアバンドとリストバンドを入れといたからな」
バスケの練習で使用しているため、犯人も口から手が出るほど欲しいものだと勝手に思っていた。
「それは……、欲しいな」
「だろ」
授業中だから、更衣室はシーンとしていた。
ドアの向こうでは、運動を楽しんでいるクラスメイトの声が聞こえてくる。
「…なぁ。沢村は、俺のこと気持ち悪くないのか?」
「はぁ?なんで??」
「ホラ。俺って匂いフェチだろ?いい匂いだからって男の俺に抱きしめられて、匂い嗅がれるのって嫌じゃないか?」
「別に。今野に抱きしめられながら匂いを嗅がれるのは、嫌じゃねぇよ」
俺の言葉に対して今野が何かを言う前に、更衣室のドアが開けられた。
「来たっ…」
小さい声で、今野に知らせた。
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