9人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
風呂に入った後、今野のベッド横に敷かれている布団に倒れ込んだ。
今野は、机に向かって何かやっていた。
「何やってんの?」
「宿題。数学の」
「あぁ。俺は、授業中に終わらせた」
今野に近づき、手元を覗き込んだ。
濡れた髪の水滴が、ノートに垂れないように気をつけながら覗きこむと、ある1問が目に入った。
「この問題ってさ…」
教科書を指差し、問題について訊こうとしたら、いきなり今野が振り向いた。
「おぉ!ビックリした」
「水色のシャンプー使った?」
「あっ、ダメだった?」
「ダメではないけど…。女性用のシャンプーだから」
「げっ。おばさんの使っちゃった??」
「いや。新作だし、一回も母さんは使ってないから、大丈夫」
「そっか~。いい匂いはするとは、思っていたけど…」
濡れた前髪を掴む。
自分でもわかるほど、微かなシャンプーの匂いがした。
「アハッ。甘い匂いするな」
笑いながら今野をみると、いきなり抱きつかれた。
「うわっ!ど、どうした?」
「…ハァ、ハァ……」
いつもと違う雰囲気の今野に、鳥肌が立つ。
最初のコメントを投稿しよう!