Fragrant④

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風呂に入った後、今野のベッド横に敷かれている布団に倒れ込んだ。 今野は、机に向かって何かやっていた。 「何やってんの?」 「宿題。数学の」 「あぁ。俺は、授業中に終わらせた」 今野に近づき、手元を覗き込んだ。 濡れた髪の水滴が、ノートに垂れないように気をつけながら覗きこむと、ある1問が目に入った。 「この問題ってさ…」 教科書を指差し、問題について訊こうとしたら、いきなり今野が振り向いた。 「おぉ!ビックリした」 「水色のシャンプー使った?」 「あっ、ダメだった?」 「ダメではないけど…。女性用のシャンプーだから」 「げっ。おばさんの使っちゃった??」 「いや。新作だし、一回も母さんは使ってないから、大丈夫」 「そっか~。いい匂いはするとは、思っていたけど…」 濡れた前髪を掴む。 自分でもわかるほど、微かなシャンプーの匂いがした。 「アハッ。甘い匂いするな」 笑いながら今野をみると、いきなり抱きつかれた。 「うわっ!ど、どうした?」 「…ハァ、ハァ……」 いつもと違う雰囲気の今野に、鳥肌が立つ。
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