Fragrant①

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「はよっ。また、やってんのか」 今野が、沢村の匂いを嗅いでいるのは、見慣れた光景だ。 「はよっ」 「そんなに沢村の髪って匂いするかぁ?臭いんじゃね??」 「失礼な。毎日、髪を洗っているっつーの」 「そうそう。沢村独自の匂いは爽やかさに透明感があって、花に例えるとスズランなんだけど、シャンプーした後は――――…」 それから10分間、今野は沢村の匂いについて語り続けた。 「わーった、わーった。沢村の匂いが素晴らしいことはわかったから、思う存分、勝手に嗅いでてくれ」 身長も高く、顔が整っているだけに、匂いフェチシズムの今野は、異質な者として、扱いを受けていた。 でも、本人はまったく気にしておらず、沢村の匂いを嗅ぐのを止めなかった。
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