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うつ伏せにされたわたしの躰を、痺れが何度も何度も通過していく。わたしは堪らず、身を捩らせ、腰を動かした。
「んうっ」
溺れそうな躰を何とか支える為に伸ばした手で、シーツを掴み、耐えていた。
出会ってから、わたし達が離れるチャンスは二度、あった。
一度目は、わたしが高校生を卒業する時。二度目は大学を卒業する時。どちらも、生きる道を選び、決断しなければいけない時だった。
どちらの時も、彼が言ったことは同じだった。
「もし俺から離れても、お前の生活が充分に落ち着くまでは資金面で当面の面倒は見る。とにかく、俺たちはそろそろ離れた方がいい」
二度とも彼からの提案だった。
彼はなるべく早くわたしを遠ざけたかったのかもしれない。でもわたしの中に彼から離れる選択肢なんてなかったのだ。
「いやよ、わたしはここにいたい。わたしはおじさんの傍から離れたくない」
わたしがぶつけたのは、率直な、ありのままの感情だった。ただ必死で、傍にいたい、ここにいさせて、と懇願した。
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