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*第3章* 一人と一羽と時々騒音の生活
そこの家の九官鳥であるP氏は時々、我慢ならぬ程の痒みに襲われるようになった。
始めは止まり木やゲージの網に体をこすり付けていた。それでも足りぬ時は、餌入れに顔をこすり付け、サツマイモをばら撒いた。
繰り返しても繰り返しても痒みは収まらず、嘴でかき毟るようになった。
七転八倒していても勿論、A氏が振り返ることはなかった。
P氏も、振り返って欲しいとも思わなかった。
A氏のウィスキーの氷がカランカランという音。
P氏の暴れ回る音。
ただそれだけが、真夜中のしじまに響くことが幾度かあった。
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