1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁでも、ちょっと憧れるんだよね。私肌が赤くなるだけで黒くならないから。すっごい痛くはなるけど」
ふと、右斜め前にいるタクミがちらちらとこっちを見てにやけていた。
その視線を今度は右に向けると、タクミの三つ隣、廊下側から二番目の席にいるユタカ、その後ろのアキラも同じくこっちを見てニヤニヤしている。
「……そうか」
阿呆共は後で殴るという事にして、俺はスギサワの言葉を思い返し、ちらっと、まるで盗み見るように制服から覗く彼女の肌の色を見た。
雪化粧を施したかの様……と言うと少しクサイか。
決して健康的な白ではないが……なんだろう。
その白は、俺の好きな色だった。
「……俺としても、それは困るな」
「……え?」
言ってからはっとするのと、彼女が声を上げたのが同時で。
彼女が声を上げたのと、例の教師が教室の扉を開けたのが同時で。
例の教師が扉を開けたのと、タクミ、ユタカ、アキラの三人が慌てて前を向くのが同時で。
最初のコメントを投稿しよう!