放課後デプレッション

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「あぁでも、ちょっと憧れるんだよね。私肌が赤くなるだけで黒くならないから。すっごい痛くはなるけど」  ふと、右斜め前にいるタクミがちらちらとこっちを見てにやけていた。 その視線を今度は右に向けると、タクミの三つ隣、廊下側から二番目の席にいるユタカ、その後ろのアキラも同じくこっちを見てニヤニヤしている。 「……そうか」  阿呆共は後で殴るという事にして、俺はスギサワの言葉を思い返し、ちらっと、まるで盗み見るように制服から覗く彼女の肌の色を見た。 雪化粧を施したかの様……と言うと少しクサイか。 決して健康的な白ではないが……なんだろう。 その白は、俺の好きな色だった。 「……俺としても、それは困るな」 「……え?」 言ってからはっとするのと、彼女が声を上げたのが同時で。 彼女が声を上げたのと、例の教師が教室の扉を開けたのが同時で。 例の教師が扉を開けたのと、タクミ、ユタカ、アキラの三人が慌てて前を向くのが同時で。
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