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「……大輔くんのこと、考えてるんでしょ」
泉が、穂積を覗いてニヤリとする。穂積は、兄の考えていることが手に取るようにわかったので、呆れたため息を吐いた。
「大輔くんはダメだよ、兄さん。彼は最近……恋人ができたばっかだから」
「そうなの? てっきりあの子は……チェリーかと思ったのに」
さすが我が兄だ、と穂積はため息を飲みこんだ。血は争えない。兄とは男性の好みが似ているのだ。チェリーボーイ、つまり童貞が好き、という――。
「香、あの子こと気に入ってるんでしょ? 隠してもムダだよ、お兄ちゃんはお見通しなんだから」
ウフフと笑って、兄が穂積の頬を突く。確かに兄と自分は好みが似ているから、とっくにバレてはいただろう。それでも穂積は、知らん顔を続けた。制服姿の初々しい大輔を思いながら――。
フッと穂積の頬が緩む。泉が、ほらぁ、と笑った。
初めて見た制服姿の大輔は、その場で押し倒し、しゃぶりつきたいぐらい――可愛かった。
今さら大輔と付き合いたいとは思わないが、なんとかして彼の童貞を奪えないものかとは、今でも思う。
風俗狂いで結構な変態の晃司に、NTR属性がないことが残念でならない。
穂積にとって、大輔は永遠の――アイドル、なのだ。
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