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晃司に会えるだけで嬉しかったし、晃司が日に日に回復していくのがわかってよかったが、晃司がいたのは大部屋の病室だ。二人きりになるだけでも難しいので、当然恋人として触れ合う機会はまったくなく、キスもお預け状態だった。
退院してから一週間は、晃司は実家に帰っていた。両親の、特に母の強い要望だったらしく、晃司は嫌がっていたが渋々実家の世話になった。撃たれた息子を心配する晃司の母の気持ちは当たり前のものなので、中々会えなくなったことは寂しかったが、大輔は我慢した。二度ほど実家にお邪魔し、晃司の両親や姉たちと食事したのは楽しくも緊張のイベントだった。
そしてようやく晃司が出勤してきた一週間前、その日は復帰祝いなどで二人きりになるチャンスがなく――二人きりになれたのは当直が重なった三日前。仮眠室でこっそりイチャついた二人だったが――。
その時もこうして晃司は、大輔の射精直前で愛撫を止めた。寸止め――を食らわされたのだ。
「晃司さん……俺、もう……」
大輔はこれ以上は堪えきれないと、自ら晃司の体に腕を回し、はしたなくも下半身を晃司に押しつけた。腰をくねらせ、精一杯晃司を誘惑する。
晃司は自分の術中に落ちた大輔に、満足げに笑った。
「……わかったよ、お巡りさん。ただし……これ……俺の中でぶっ放してくれるなら、続きしてやるよ」
晃司が、大輔の幹をゆるく扱く。
熱に潤んだ大輔の目が――スッと冷める。
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