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「次に、主人公のヒカル役やりたい人挙手して下さい。__誰もいませんか?」
「あっ、はい!俺やります!」
翔太くん、主人公役やるのかー。ヒロイン役誰がやるんだろう。文化祭の学年劇でキャストをやる人たちの名前が並ぶ黒板を見てふと、そんなことを考える。
「じゃあ、次に、ヒロインのスズカ役やりたい人挙手して下さい。」
教室を見渡すと何人かの女子が手を挙げているのが見えた。
「愛結美、やりなよ。」
突然、隣の席に座る親友の美鈴にそう言われて一瞬、思考が停止する。
「だって、ヒロイン役って主人公に片思いしてる女子中学生って設定でしょ。愛結美にぴったりじゃん。」
そう、私は小学3年生の頃に同じクラスになった時からずっと翔太くんに片思いしている。でも、私は舞台に立つようなタイプではない。
「でも、ヒロイン役なんて無理だよ。私は小道具係とかで良いよ。」
私がそう言うと美鈴は
「中学校生活最後の文化祭なんだから楽しんだもん勝ちでしょ。ほら、募集締め切っちゃうよ!」
そう言って「愛結美もやりたいってー」と仕切っていた委員長に向かって叫んだ。
「み、美鈴……。」
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