文化祭の姫君

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 最終日の夕方。  お祭り騒ぎの熱は少しずつ冷めていき、モニターの向こうでは学園のあらゆる場所で撤収作業が行われていた。学園の生徒も教職員たちも皆、充実した表情で片づけを行っている。  彼女はようやく静かになった無線をテーブルにそっと置くと、うーんと伸びをする。 「これで私の文化祭も終わりかあ……一度くらいたこ焼きが食べたかったなあ」  などと呟いた瞬間。 「……えっ?」  モニターの画面がすべてブラックアウトした。  一瞬、状況が飲み込めず混乱し、眼鏡がずり落ちる。  間髪入れずに副実行委員長が「姫、一大事です!」と言いながら駆け足でやってきた。  有能で部下からの信頼も厚いちょっと可愛い顔の二年生の男子だ。その顔色から緊急事態だと察する。 「どうしたんだね?」 「分かりません!」  副実行委員長を連れ立って慌てて外に出ると予想外の事が待ち受けていた。  どういうわけか校舎の廊下がもぬけの空になっている。客がいないのは分かるが生徒たちもどこにいない。どうなっているんだと尋ねても、彼は首を振るばかりだ。 「学生教職員併せて二千人以上だぞ……あれだけの人がいっぺんに消えるわけない」
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