オバケよりも、生きている人間が怖い。

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 あれから後、調書を制作するため某警察署にご同行させられることになったのでした。  無事に聴取も終わり、署内のちょっとしたベンチに腰を下ろし、ようやく私たちはひと息をついていました。  二人してコーヒーなんかを飲んでいました。  飲み物くらいならまだ大丈夫ですが、しばらく食欲不振が続きそうです。  もうベジタリアンになってしまうかも。  少しして、いつもの表情に戻ったマリアさんに、私はさっき考えていたことを話しました。  思えばそんなわけないのに、くだらない妄想をしたものです。 「正直、マリアさんがあの死体を食べようとするのかと思っていました」 「まさかですよ、のどかさん。そんなこと、あるはずないじゃないですか」 「そうですよね。私ったらバカみたい」 「うふふ。本当ですよ」  もしかするとマリアさんは、ショックを受けている私に気を使って、無理に明るく接してくれているのかもしれません。  まったく。  こんな優しい女性が、人喰いなんて。  そんな馬鹿な。 「おかしなのどかさん。私があんなの、食べるわけなんてないじゃないですか」  マリアさんは、今日一番の笑顔で言ったのでした。 「落ちてるものを拾って食べるなんて。普通、ありえないでしょう?」
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