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「じゃあ、霧島くん。早速、プランナーの立場から意見を聞かせてほしいんだけど」
私と霧島くんの会話を遮り、朝日さんは唐突に打ち合わせを始めた。
霧島くんも仕事モードで対応し、二人の会話は弾んでいった。
私は二人の会話に耳を傾けながら、必要な情報をメモに取る。
朝日さんの質問に、霧島くんは淡々と答えていた。
中にはしっかり仕事を理解していないと答えられないような質問もあったが、彼は難なく答えていて、私は密かに心の中で部下のことを尊敬した。
そうして打ち合わせがだいぶ進んだ頃だった。
私の携帯に、着信が入った。
着信相手は、前島室長だ。
私が海堂出版で打ち合わせ中だということを知っているのに電話をかけてくるなんて、何かトラブルでも起きたのだろうか。
嫌な予感が、胸をよぎった。
「すみません、ちょっと席外します」
立ち上がり席から離れて電話に出ると、珍しく焦ったような室長の声が耳に届いた。
「永里、緊急事態だ。すぐにこっち戻ってこれるか?」
聞くと、私が担当していた案件に重大なミスが発覚したとのことだった。
「今すぐ戻ります!」
すぐに電話を切り、打ち合わせ中の朝日さんと霧島くんに頭を下げた。
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