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「すみません!ちょっとトラブルが起きてしまって……私、戻らないといけなくて……」
自分がやってしまったミスのせいで、その案件とは全く関係のない朝日さんや霧島くんにも迷惑をかけてしまう。
この場で頭を下げることしか出来ない自分が、歯がゆくて悔しくて、仕方なかった。
「大丈夫ですよ。あとは僕に任せて早く行って下さい」
霧島くんは特に気にする素振りは見せず、冷静だった。
一緒になって慌てるような人ではなくて良かったと心底思った。
楢崎室長が霧島くんを選んでくれて良かったと、本気で思った。
彼なら、信頼してこの場を任せることが出来る。
私は霧島くんにお礼を言い、朝日さんにもう一度深く頭を下げて足早に立ち去った。
広報室に戻った私は、急いでミスの修復に取りかかった。
ある程度は室長がフォローしてくれていたけれど、担当者の私じゃないとわからないことも多い。
今夜中に修復出来なければ、多大な迷惑をかけてしまう。
「永里、出来そうか?時間、間に合わないと本気でやばいぞ」
「出来ます」
これは私の仕事だ。
自分のミスは、自分で挽回するしかない。
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