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皆、自分の仕事に手一杯でサポートを頼めそうにない。
今夜中に終わらせるために、休憩は一切挟まずただひたすらパソコンの画面に集中していた。
修復作業を開始してから、どれくらいの時間が経ったときだろう。
すぐ傍に人が立っている気配がして、やっと私はそこで顔を上げた。
そこには、帰り支度を終えた霧島くんが立っていた。
「お疲れ様です。パソコンにメール送ったんですけど、その調子だとまだ見てないですよね?」
「あ……うん、ごめんね。まだ見てない」
パソコンに届いたメールをチェックする余裕など、今の私にはなかった。
「今日の打ち合わせの詳細、メールで送信しておいたんで。手が空いたらチェックお願いします」
「ありがとう……本当に霧島くんが引き継いでくれて助かった。後でチェックしておくね」
そう言うと、霧島くんは私の今の切羽詰まった状況を把握したのか、涼しい顔で口を開いた。
「今日もまた残業ですか」
「ちょっと……今夜中に直さないといけない案件があって」
周りを見渡すと、室内に私と霧島くん以外は誰もいなかった。
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