心を許してしまった瞬間

2/33
115人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「え!初恋の人に再会したの!?」 「ちょっと……声、大きいよ」 「あ、ごめん。だって樹、初恋の男のせいでトラウマ出来たんじゃなかった?」 「そうなんだよね……」 すすきのにある行きつけのバーに、大学の頃からの親友の金城小百合を呼び出した。 私は人見知りな性格のせいで、心を許せる友人が一人しかいない。 でも、友人が多い人のことを羨ましいとは思わない。 私のことを理解してくれる人が一人いれば、それでいい。 「どうすんのよ?仕事でまた会う機会あるんでしょ?」 「どうすれば避けられると思う?」 「いや、無理でしょ。諦めて正々堂々と立ち向かいな。マスター、私、次ジントニックね」 小百合は、ある意味男よりも男らしい。 いつ見ても、カッコいい女性だと思う。 仕事はアパレル関係で、エリアマネージャーとして多忙な日々を送っている。 小百合が男だったら、もしかしたら好きになっているかもしれない。 以前そう言ったら、本気で気持ち悪がられてしまった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!