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特に言葉を交わすこともなく、二人で黙々と作業を続けた。
そして、締め切り寸前で何とかデータを送信することが出来た。
「終わった……」
「ギリギリでしたね」
正直、霧島くんのサポートがなければ間に合わなかったと思う。
何度お礼を言っても、言い足りない。
この感謝の気持ちをうまく伝える方法はないだろうか。
そう考えていたとき、自分のお腹が軽く鳴った。
仕事に集中していて、食事を取ることも忘れていたことに今になってようやく気付く。
「そうだ……霧島くん、夜ご飯食べた?」
「いえ、食べる前にここに寄ったんでまだですけど」
「それなら、今からご飯食べに行かない?今日のお礼にご馳走させてほしいの」
もう夜の十一時を過ぎていてご飯を食べる時間などとっくに越えてしまっているけれど、私が彼に出来ることといえば、これぐらいしかない。
「あ、でももう時間も遅いから無理なら今日じゃなくてもいいんだけど……」
「じゃあ、今から飯連れて行ってもらってもいいですか」
何が食べたいか聞くと、「永里さんがよく行く店でいいですよ」と私が困るような返答をしてきた。
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