心を許してしまった瞬間

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私は普段、外食はほとんどしない。 決して自分の料理の腕前に自信があるわけではないけれど、自炊の方が節約出来るし健康にもいいからだ。 残業が続くときは外食に頼ることもあるけれど、なるべく自炊を心がけている。 そんな私がよく行くお店など、そう沢山あるわけもない。 自分から誘ったのに、完全に店は霧島くんに任せる気でいた。 「私、あんまり外食しないから詳しくないの。だから霧島くんがもし行きたいお店とかあればそこで……」 「永里さんが誘ったんだから、責任持って決めて下さいよ」 「えー……」 どうしよう。 上司と食事に行くことなら今まで何度もあったけれど、こんな若い子と二人きりで食事などしたことがない。 どこにしようか必死に考えていると、その様子を見かねた霧島くんが助け舟を出してくれた。 「じゃあ、俺の行きつけの店でもいいですか」 「うん!そこがいい!」 霧島くんが連れて行ってくれた場所は、職場から少し離れた大通駅のそばにある蕎麦屋だった。
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