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「え、じゃあまさかそれから一度も恋愛してないんですか」
「……」
してないと口にすることに抵抗を覚え、無言のまま頷いた。
「……マジっすか」
霧島くんは数秒間フリーズした後、小さな溜め息と共に私に同情の目を向けた。
「ちょっと……やめてくれる?その哀れむような目」
「すみません、思いっきり同情してます」
「あーもう……何で霧島くんにこんなこと話しちゃったんだろう……」
初恋の男に裏切られた話なんかしたら、今のように変な空気になることは予想出来たはずなのに。
つい、口が滑ってしまった。
「まぁ、仕方ないんじゃないですか。初恋って、どうしても美化しがちだし」
「別に美化してなんか……っ」
「誰にでも、忘れられない恋はありますから」
霧島くんは惨めな私に同情はしたけれど、決して私の話を笑い飛ばすようなことはしなかった。
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