叶わない恋にも、意味はある

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「じゃあ……私、そろそろ行きますね」 「あ、はい!お話出来て楽しかったです」 「私も……楽しかったです。誘ってくれてありがとうございました」 礼を言い二人に頭を下げ、立ち去ろうとしたとき。 彼女に呼び止められ、振り向いた。 「永里さん。冬汰のこと……よろしくお願いします」 「……」 それは、職場の先輩としてという意味だろうか。 それとも、別の意味なのか。 彼女は、私が恋をしている相手が誰なのか、とっくに気付いているような気がした。 「……はい」 一言だけそう口にした私の心は、この店に来る前よりもずっと軽くなっていた。 叶わない恋にも意味はあるのだと、素直に思えた。 たとえ想いが伝わらなくても、想い続けることは罪ではない。 限界だと思うまで諦めるな。 私はまだ、何もしていない。
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