最後の恋は蜜の味

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「でも霧島くん、花火大会なんて本当は行きたくないんじゃ……」 「正直言って興味はないです」 「やっぱり……」 「俺が花火好きそうに見えます?」 「見えない」 「でしょ」 私から見た霧島くんのイメージは、季節ごとのイベントや人が大勢集まる場所は苦手そうに見える。 これから、少しずつでいいから、彼のいろいろな一面を見ていきたい。 イメージ通りな一面も、予想と反する意外な一面も。 どれも全部胸を張って好きだと言えるから。 「興味ないなら無理して行かなくてもいいのに」 「無理したいんですよ」 「……っ」 「樹さん限定だけど」 霧島くんは、不器用ながらも気持ちを伝えようとしてくれている。 きっとこうやって気持ちを言葉にすることは苦手なはずなのに。 「……ありがとう」 何度でも伝えたい想いが溢れ出す。 恋人に甘えてばかりの女にはなりたくない。 でも、たまにはこうして素直になって甘え合える日があってもいいと思った。
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