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必要以上に他人に関わることを避けて生きてきた。
もう二度と傷つかないために、自分を守るために。
だけどそうやって生きてきて、胸の中に残ったものは、言葉に出来ない虚しさしかなかった。
人生で二度目の恋は、私にかけがえのないものを教えてくれた。
そんな生き方は、間違っていたのだと気付かせてくれた。
「……私も、幸せだよ」
「樹さん、今日やっぱ泊まって行けば?」
「ダメ。泊まりたいけど、戻らなくちゃ」
「……ていうか、ここに住めばいいのに」
「え?」
「いや、何でもないです。この話は、また今度」
二人の恋は、まだ始まったばかりだ。
この先、何が起きるかは誰にもわからない。
この幸せが、突如として消えてしまうような出来事が起きてしまうかもしれない。
それでも、これだけは堂々と胸を張って言える。
彼を好きになって良かった。
彼が私を好きになってくれて良かった。
私の生涯の中で、何にも代えられない大切な宝物は、この恋だ。
私にとっての、最後の恋だ。
END
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